不動産投資でお客様のサポートをし始めて10年以上経ちます。
たくさんのお客様と不動産物件に出会ってきました。
オーナー様やこれからオーナーになろうとしている方々は、まずは利回りが良いか、立地が良いかというところを気にされると思います。
もちろん当然のことで、非常に大切なことです。
ですが、利回りをどのように計算しているでしょうか。
立地はどんな場所を選んでいるでしょうか…。

表面利回りが10%だから、高利回り物件だ!とか
立地が都市部で駅から5分以内だから、賃貸間違いなしで安定した収入を確保できるぞ!
という安易な考え方をしていないでしょうか。

一般的に表面利回りから2~3%を引いた数字が実質利回りとして言われています。
ですが表面利回りから5%下がってしまう物件や、中には全然実質利回りがつかない物件も存在します。
実質利回りというのは、購入して経営してみて初めて本当の利回りが出てきますので、購入前には中々わかりません。
ですがこの実質利回りを下げてしまう要因さえ理解しておけば、実質利回りが低くなってしまう物件の購入を避けれる可能性が相当高まります。
その大きな要因の一つが工事です。
例えばビル、アパート、マンションなどの外壁塗装や天井防水といった大規模修繕工事や
現在の入居者さんが退去した際に、次の入居者さんに入って頂くためのお部屋の修繕工事(これを原状回復工事といいます)などです。

大規模修繕工事に関しては、建設屋さんと物件を見に行くことである程度対策を立てることができます。
しかし原状回復工事に関しては別です。
空き部屋を見たり図面である程度確認をすることはできますが
入居しているお部屋に入ることはできませんので、退去してしまうときにどれくらいの数字を見込んでおけばよいか実際にはわかりません。
ここで隠れた瑕疵などが存在する場合も稀にあり、多額の修繕費用がかかってしまって問題になったケースを実際にみたことがあります。
この場合、本当にどうしようもない場合はありますが、事前に契約内容の中に「隠れた瑕疵に対する1年の保証」や、それに類する特約を必ず入れて置くことが大切です。

問題はここからです。
誰にでも関係してくる、原状回復工事での収益の生み出し方の違いです。
当たり前ですが、そのお部屋に長く住み続けてもらえば原状回復工事をしなくてすむので、余分な出費がかからず利回りを上げることができます。
ではどうすれば長く住み続けてくれるのかを考えていく必要があります。

駅から近かったり、駐車場があったり、セキュリティーが高かったりと、アパートやマンションの条件が良いに越したことはありません。
しかしそうではない状況でも、1ルームでしたら大学生や単身者の心をつかむようなお部屋を、2LDKなどの広めのタイプならファミリーの心をつかむようなお部屋と環境を作ることによって、長く住んでもらうことも可能です。
良いお部屋作りと言っても資金を多く出せば良いわけではありません。
資金をそれほどかけなくても、少しの工夫で気に入ってもらえるお部屋は作れます。
というよりも資金をかけ過ぎたら利回りが下がるので意味がありません。

入居者さんを付けるために行う工事の例を挙げると
お風呂とトイレが一緒になったユニットバスを、お風呂とトイレが別々のセパレートタイプにするというものがあります。
セパレートの方が人気ですし、余裕があればそういった工事をしても良いと思います。この工事を行った方が良いケースもあります。
ですが、ユニットバスのままでも入居率を上げ、家賃を上げる方法はあります。
まずユニットバス内のお風呂とトイレをピカピカにクリーニングして、しっかり消毒をします。
場合によってはお風呂やトイレを塗装してしまいます。
次に壁や天井に洋風でアンティーク感を感じさせるようなシートを貼り、アンティーク感のある家具を少し取り付けます。
このようにしてオシャレなユニットバスを作ってしまいます。
更にオシャレになったユニットバスに合わせるように、洋風な壁紙を廊下の1面だけに貼ったり、お部屋の1面に貼ったりして雰囲気作りをします。
これだけのことで入居率や家賃は全く変わってきますし、このお部屋を気に入って住んでくれる方なので、入居期間も長くなる可能性は高いです。
しかも工事にかかる費用をしっかり削減することが可能です。

同様に和室を洋室に変更するような工事を多く見てきました。
畳をフローリングに変更したり、押入れをクローゼットに変えたり。
費用も結構掛かってしまいます。
しかし、和室が好きな人もいますし、洋室を探していたけどオシャレな和室を見て考え方を変える方もいらっしゃいます。
まず畳の種類や色を変更します。縁なしの畳や、カラフルな色に変えることで雰囲気は全く変わり
壁紙を1面だけインパクトのある和風な壁紙に変更します。照明器具も思い切って和風なものに変えてしまいましょう。
和室は暗めなイメージを持つ人もいらっしゃいますので証明を明るいものにしたり畳を明るめの色にして全体を明るい雰囲気にします。
押入れが使いにくいという場合は、真ん中の部分をカットして洋服掛けを付けてしまったりすることで、使い勝手はずいぶん変わってきます。
押入れをそのままで障子を格好良いデザインに変えればオシャレな和室が出来上がります。
洋室に変えてしまうコストを考えれば費用をずっと安く抑えることができます。
ユニットバスの時と同じように、このお部屋を気に入ってくれた方が済みますので、長く住んで頂ける可能性は高まります。

このように少しの工夫で工事にかける資金の使い方が変わってきたり、入居率、家賃、そして入居期間が変わってきます。
そうすると利回りも大きく変わってくる可能性があるわけです。
是非、原状回復工事の方法を考えてみてください。

あとは管理会社さんとのコミュニケーションがしっかりできているか、そうでないかによっても結果は変わってきます。
その話はまた別の機会に。