原状回復に伴いオーナー側と入居者側で負担割合を決めるわけですが
その負担割合はどのように決定してるでしょうか?

私が長年賃貸不動産業界を見てきた率直な感想を言うと
その割合はまだまだザックリ計算になっている気がします。

理由は、負担割合の正確な計算方法を熟知している人が少ないから。
退去立ち合いでお部屋を調べる時に、お部屋の設備や資材によって耐用年数が違います。
例えば
負担割合を計算する時、入居さんが3年住んでくれて、クロス(壁紙)の耐用年数が6年だから
基本的な負担割合は1:1だなと計算できます。

では床の場合はどのようになるかおわかりでしょうか?
床といっても畳、クッションフロア、カーペット、フローリングというように複数あります。
     

畳やクッションフロアは耐用年数を6年で計算します。
ですのでクロスの場合と同じ考え方で大丈夫です。

問題はフローリングです。

フローリングの場合はフローリングそのもの耐用年数では計算されません。
建物の耐用年数によって計算されるのです。
軽量鉄骨・・・19年
木造・・・・・22年
鉄骨・・・・・34年
鉄筋・・・・・47年
建物の種類によっても耐用年数が変わり計算が大きく変わってきます。
ちなみに上記は住宅の場合の耐用年数であり
更に細かくしていくと、事務所用や飲食店用と分かれたりします。

計算の例としては
築10年経過した鉄筋コンクリート造マンションに3年入居したとして
退去する時には築13年になっています。
入居者は故意過失ではないが、住んでいる間に修復不可能なほどフローリングを傷つけてしまいました。
マンションの耐用年数が47年で、入居者が退去する時の経過年数が13年なので
47年ー13年=34年が耐用年数の残存期間。
基本的な考え方としては
この残存期間の34年分を入居者の負担になり、経過年数13年分をオーナーが支払う形になります。
34:13=約3.6:1の負担割合になるでしょう。

いかかでしょうか。
このように計算も意外と複雑になります。

どちらが損でどちらが得というお話ではなく
後々トラブルが起きないように、お互いが納得できるように明確な計算を必要とする時があります。
信頼できるパートナーとお立合いをすることをお勧めします。