不動産価格が上がり続ける昨今ではありますが
それでも不動産投資を行う人がどんどん増えている印象を受けます。
というより、新築不動産の人気が高まっていたり
不動産投資を行う人が増えているから価格が上がっているのかもしれません。
どちらが先に来るかはわかりませんが、いづれにしろご自身が持つ物件は
是非とも慎重に選んでください。
でなければ後々大変な思いをしてしまう可能性が高まってしまいます。

実は私は以前、区分所有1ルームマンションをご紹介する大手の企業に
勤めていた経験があります。
大学を卒業したばかりで、まだ不動産投資の世界を詳しく知らなかった頃です。
大学生のころ、たまたま読んだ本の中に不動産投資の話が書かれており
「よし、不動産投資家になろう!」と思い立ち
まずは勉強の為にどこかの投資不動産会社に勤務してみようというのが始まりでした。

約3年1ルームを紹介する企業に勤め、その後自分で起業をして
リフォームやビル、アパート、マンション管理、国内不動産投資物件や
海外不動産投資物件などの仲介をしてきています。
そして現在は今までの仕事と合わせて不動産全般の不動産コンサルティングを行っています。

ちなみに起業してからは、1度も区分所有の1ルームを誰かに勧めたことはありません。
もちろん他の投資不動産物件のご紹介はしています。

このような言い方をすると、区分所有の1ルームがダメだとあからさまに言っているよう
に聞こえるかもしれませんが、決してそういうわけではありません。
ですが、投資として捉えるのであれば他にもっと良い不動産物件があるとだけ
ハッキリお伝えしておきます。

繰り返しますが、私は区分所有1ルームを紹介する会社に勤めた経験があり
なおかつ、今現在1棟物の投資不動産物件をご紹介したり、管理をさせてもらっています。
海外のいくつかの国の不動産をご紹介したこともあり、日本と一部の海外の不動産の違いまで
知っているつもりです。

では例えば、新築区分所有1ルームマンションと中古1棟物1ルームアパートは何が違うのか。
簡単に表現してみましょう。(条件が同様の場合)

・利回り    → 区分所有 < 1棟物
・資産価値   → 区分所有 < 1棟物
・リスクの低さ → 区分所有 < 1棟物

このように表現できます。
ご存知だと思いますが念の為お伝えしておくと
< という記号は大きく開いている方が優れているよという意味です。

もちろん100%全ての物件でこれが当てはまるわけではありませんが
全体として、平均的に考えてです。
ではなぜこうだと言えるのか。
とても簡単です。
実際に計算をしてみれば良いだけです。
誰でも計算できます。

利回りに関しては
1年間に入ってくる家賃収入を物件価格で割って100を掛けるだけで利回り(%)がでてきます。
(1年間の家賃収入÷物件価格×100=利回り(%))
数字が大きいほうが利回りが高く、ようするに利益を出しやすい物件です。

資産価値に関しては
知っておかなければいけないことが1つあります。
そもそも、その土地を自分だけで所有しているのかどうかです。
土地という存在は、不動産において最も価値があるものです。
日本では、基本的に建物価値は老朽化してしまえば、いつかは価値がなくなります。
しかし土地は価値がなくなりません。
多少価値が上がったり下がったりはありますが、土地に老朽化というものはありませんので
最初からある程度価値が保たれているわけです。
しかし区分所有の場合、土地の持ち分といものは存在しますが
その土地を売ることはできませんよね。
長期的に見て資産価値がどちらが保たれるかは、言ってしまえば比べるまでもないのです。
強いて数字で表すのなら、SUUMOさんのホームページやアットホームさんのホームページなどで
売り出し価格を調べて、その物件の新築当時の物件を調べて
いったい築年数はどれくらいで、いくら値下がっているのかなどを分析していくと良いでしょう。
おのずと答えが出てくると思います。
やたら高く売りに出している物件もありますので
実際にいくらで売買が成立するのかが重要です。

リスクの高さに関しては
利回り、資産価値の高さが1棟物の方が優れているわけですから
基本的には1棟物の方がリスクは低くなります。
もちろん例外物件もありますが、あくまでも平均的にです。
ですがもちろんリスクはこれだけではありません。
実際に入居者さんがお部屋を借りてくれて、家賃が入ってこなければいけませんし
入居してくれていた人が退去した際に発生する、お部屋の原状回復工事や
大規模修繕でかかってくる費用なども考えなければなりません。
この他にも税金やローンの金利分の支払い、入居さんが入れ替わるときに発生する
賃貸会社への支払い費用などなど。多くの費用が実際には必要になってくるのです。
不動産投資をする際、本来はここまで計算して持つ必要があります。
ところが実際に持つ際は、気持ちが先行してしまってここまで計算をせずに持ってしまう人が
多いです。特に新築の区分所有1ルームを持つ方はその傾向が強いです。
一般的な不動産会社はここまで責任をもって計算はしてくれません。
でてくる数字はだいたいの表面利回りくらいです。
中には親切にシミュレーションを出してくれるところもありますが
それでも本当にその通りにいくのかどうか自分なりに再度計算をしてみることをお勧めします。
全てが計算通りにはいきませんが、ある程度の計算をして物件比較をすることが大切です。
そうして複数の物件を比較して、最も良いと判断できる物件を持たなければいけません。
大きな金額を動かすわけですから人任せにし過ぎるのではなく
自分でということを念頭にして頂くのが良いかと思います。

このように家賃が入ってきたとしても、支払う費用も色々あります。
この支払費用を払ってもプラスで不動産経営ができなければ意味がありません。
そうすると必然的に利回りの高さが重要になります。
利回りが高い物件ほどリスクが高いというお話もありますが、全くの迷信です。
本当に利益を得ようと思ったら少しでも高い利回り物件を選んで自分自身でもしっかり
管理を行うのが1番です。
投資不動産を購入だけして、手間がかかる仕事を全て他の業者に任せていたら
当然その分の費用がかかりますので利回りが低くなるのは当然です。
なんなら利回りがマイナスになることだって普通にあります。
営業マンのお話の中で費用がでても節税になるからなどというお話もありますが
トータルの収入を下げて支払う税金を減らしているだけですので、何も得していないですよね。
しっかり利益を出していれば税金も高くなりますが、それで良いのです。
税金が高くなるということはそれだけ利益が出ているということですから。
まずはそうならなくては、節税も何もありません。
節税の為に不動産を持つ人ももちろんいますが、それはよほど利益がでており
利回りが低い物件でも十分に勝てる算段ができている前提でのお話です。
税金に関するアドバイスはその資格がある人以外はできないので細かくお話はできませんが
まずは利益をしっかり取れる物件を選ぶことが重要です。

投資として不動産を考えたときに、区分所有1ルームが今お伝えした内容に当てはまるかどうかを
考えてみてください。
利益を得る為の不動産投資としてです。

残念ながら区分所有1ルームではかなり難しいです。
土地としての価値がないので1棟物のように最低でも土地値で売れるだろうという算段も立てにくい為
中古市場ではかなり価格が下落します。
場所が良くても、だいたいの家賃相場は決まっていますし買手の需要も少ないので価格が上がりません。
その為売ったときの転売益をどうしても出しにくい。
また区分所有1ルームを新築で購入する方が多いですが、表面利回りが低いので長期的に見たときに
どうしても実質利回りをプラスに持っていくのが大変になってきます。
それは営業マンからあまり聞かされていないお部屋の改装費用や、賃貸業者に支払う費用や
次第に上がっていく修繕積立金が影響してくるからです。
こう考えていくとやはり投資としては考え辛いです。

ですが良いところもあります。
健康的な方であればローンを組む時に団体信用生命保険に加入することができます。
これはもし自分の身に何かあったときには、残ったローンが全て返済されて
ご遺族に、ローンがなくなった状態の区分所有1ルームを残してあげることができます。
ですから投資というよりも万が一の時の為の保険として考えた方が良いかもしれません。
残されたご遺族はその1ルームを安くても売ればプラスになりますし
そのまま家賃を受け取って生活の足しにすることも可能です。
強いて言うならばですが、最初から保険として購入するということであれば良いのかもしれません。

ただ、自分にもしものことがあった場合の保険は県民共済などで安く加入でき、そこそこの金額を
受取れます。それを考えると不動産を保険としてというのは、余裕があればもう1つという考えで
良い気がします。他にも今はネット保険に安く加入できますし、もしもが起こらない可能性の方が
圧倒的に高いわけです。
そもそも日本人は海外と比べて、もしものことを考え過ぎる傾向にあります。

今までのことをまとめていくと
投資として利益を得ようと思うと、利回りが高い1棟物の物件を選択したほうが良いでしょう。
立地の問題は、駅が遠くても、お部屋の数の分だけ駐車場があれば入居者さんは入ってくれますし
区分所有1ルームと違って何部屋もありますので、入居率が100%でなくても良いのです。
区分所有1ルームの購入は1部屋しかありませんので入居率0%か100%です。
入居者がいないとその分ローンの支払いを丸々負担しなければならなくなります。
1棟物は仮に4部屋あって1部屋空いても入居率75%で他の部屋がカバーをしてくれます。
そういう点でもリスクを分散できているわけです。
投資として不動産を考えるなら、やはりまずは1棟物から考えていくべきでしょう。

まだまだ書き足りないことが山ほどありますが、今回はこのへんで。
また色々お伝えしていきます。

ここまでお付き合い頂きありがとうございました。